コラム

大学の情報公開とユーザビリティ

大学の情報を調べるのに、学の概要から教育、また立地やアクセスまで様々な情報が掲載されている大学のホームページをまず見るという事が多いかと思います。

また、大学は公的な教育機関として、説明責任を果たし、教育の質向上を目的として、学校教育法施行規則により教育研究活動等の情報の公開が義務付けられています。

この公開が義務付けられている情報として、次が挙げられています。

第百七十二条の二 大学は、次に掲げる教育研究活動等の状況についての情報を公表するものとする。

一 大学の教育研究上の目的及び第百六十五条の二第一項の規定により定める方針に関すること

二 教育研究上の基本組織に関すること

三 教員組織、教員の数並びに各教員が有する学位及び業績に関すること

四 入学者の数、収容定員及び在学する学生の数、卒業又は修了した者の数並びに進学者数及び就職者数その他進学及び就職等の状況に関すること

五 授業科目、授業の方法及び内容並びに年間の授業の計画に関すること

六 学修の成果に係る評価及び卒業又は修了の認定に当たつての基準に関すること

七 校地、校舎等の施設及び設備その他の学生の教育研究環境に関すること

八 授業料、入学料その他の大学が徴収する費用に関すること

九 大学が行う学生の修学、進路選択及び心身の健康等に係る支援に関すること

この法令に対応するため、殆どの大学では義務付けられている情報をまとめた、「情報公開」のページをホームページ内に置いています。

大学の情報公開とアクセス

大学のホームページの中で、法令で公開が義務付けられている情報(以下、「公開情報」)にアクセスする場合、大学のホームページのトップページからどのように公開情報にたどり着くでしょうか。

いくつかの大学のホームページを見てみると、(ホームページデザインやホームページ構成によりますが)、例えばホームページで目次に似た役割を持つグローバルメニューの「大学概要」や「情報公開」から公開情報に行きつく事が多いように思います。

ただ、サイトのトップページから公開情報を見るには何クリックもしないといけないホームページ構成になっている大学もあります。

何層も何層もホームページの奥深くにもぐって公開情報にたどり着く必要があるため、「大学の情報公開の義務化について知らなければ、公開情報にたどり着くのは困難」と感じるケースも少なくありません。

この場合、あえて公開情報をホームページの奥底に隠して誰にも触れられないようにしておくかといった意図が感じられる場合もあります。

ただ教育の質向上を考えると、アクセスしやすい階層やホームページの記事に公開情報を置いておくことが説明責任の観点から重要であると感じます。

大学の公開情報と見せ方

大学の情報公開は、公開する項目は法令に記載されています。しかし、どのように公開するかまでは定めがなく、公開の方法については大学に委ねられています。

さて、いくつかの大学のホームページを見ると、公開情報の見せ方として①直接ホームページに記載する、②PDFファイルをアップするといった方法が多いようです。

ただPDFファイルで公開しているケースで気になるのは、印刷不可設定やコピー禁止設定をする、文字情報をなくしコピペを安易にできないようにするといったものがある事です。またPDFのファイルサイズが大きくモバイル通信の端末では見にくいという事もあります。

データを見やすく公開する事やデータを利活用しやすくする公開の義務付けはありません。ただ、情報を見る人が分かりやすい見せ方は大学として工夫は必要でしょう。

例えば駒澤大学では、ファクトブックとして、動的にデータが見られます。

大学の情報公開とユーザビリティ

大学は単に情報を公開するだけではなく、自らの教育研究活動やその質についての情報を発信する事が求められています。情報を意図的に隠す、アクセスや探しにくい状況にしているのは大学のステークホルダーに対して不誠実ではないでしょうか。

また情報の使いやすさとしてユーザビリティも重要です。近年はスマートフォンやタブレットの普及が進んでいます。それに合わせて、ホームページをデバイスの画面サイズに依存しないレスポンシブデザインにしている大学も増えてきました。情報公開のページもレスポンシブに対応できるか考えないといけません。

私たち大学側は様々な調査に対応するのが負担であれば、まずは情報を誰でも見られるようにユーザビリティの高い情報公開について考えていく必要があると考えています。

(淑徳大学 荒木俊博)