コラム

「大学のホームページを見ているのは誰か?」を問うということ

1. どのような人々が大学のホームページを参照しているのか?

大学情報を参照しているのはどのような人々なのだろうか?これまでの知見では、中退率などの大学情報が掲載されている、マスメディアの大学情報誌や週刊誌にアクセスしているのは、社会経済的に恵まれた立場にある人々であるということがわかっている(渡辺 2019)。

一方で、今日ではより一般的な大学情報の入手先であると考えられる、大学ホームページへのアクセスがどのような人々によってなされているのかについては、十分に検討されていない。そこで今回は、どのような人々が子どもの進学にあたり、大学ホームページを参照しているのかを明らかにしてみたい。

2. 「大学進学と保護者の意識・行動に関するインターネット調査」データによる検証

2.1 データの概要

分析に使用するのは、「大学進学と保護者の意識・行動に関するインターネット調査」である。同調査は、調査会社のモニターに登録している、高校2年生の子どもの保護者1400名を対象として、2019年3月に実施されたインターネット調査である。

うち、今回使用するのは、変数に欠測のない904ケースである。同調査では、「あなたはこれまでに、お子様の進学に関する以下の情報を見たことがありますか」という質問によって、大学ホームページの閲覧経験の有無についてたずねている。大学ホームページの閲覧経験は7つの質問項目によって測定されており、分析ではこれらの単純加算平均を大学ホームページ閲覧経験として用い、どのような人々が大学ホームページを参照しているのかを確認していく[i]

2.2 分析結果

図1 大学ホームページの閲覧経験

子どもの進学に際して、これまでに大学ホームページを参照したことがあると回答したのは、今回分析に使用したサンプルの41.9%と、過半数を下回っていた(図1、破線)。

この割合に、性別や年齢、学歴、世帯収入、居住地、子どもの進学希望による差異はみられるのだろうか?分線分析の結果、5%水準以下で、大学ホームページの閲覧経験と有意な関連がみられたのは、年齢、学歴、子どもの進学希望だけであった。

年齢に関しては、30・40代に比較して50・60代で閲覧割合が高くなっている。保護者の学歴に関しては、初中等学歴に比較して、高等教育学歴、すなわち大卒の場合で、閲覧割合が高い。そして、当然ではあるが、子どもの進学希望が短大・大学・大学院の場合で、大学ホームページの閲覧割合が高くなっている。マスメディアの提供する大学情報へのアクセスにおいて、渡辺(2019)でみられた世帯収入との関連はみられなくなっているものの、大学ホームページの閲覧についても、基本的には、社会的にも有利な立場にある、50代以上の大卒層が中心になっているとみることができる。

3. 結論

以上の分析から、マスメディアの提供する大学情報と同様、大学ホームページについても、社会的にも有利な立場にある層、すなわち、50代以上の大卒層によってアクセスされているということがわかった。本稿と渡辺(2019)の結果を合わせて考えると、現状では、大学情報という資源へのアクセスができる者は限られているということは、改めて指摘できるだろう。

そもそも、渡辺(2019)において、マスメディアの提供する大学情報へのアクセスを行っていたのは、サンプルの20.1%であったこと、本稿の分析で確認した大学ホームページに関しても、約40%であったことから、大学情報へのアクセスを行うものは高校生の保護者達の過半数にも満たないということが考えられる。

さらに、保護者が大卒層や子どもの進学希望が大学以上であった場合でさえ、大学ホームページの閲覧割合は半分にも及んでいない。もちろん、これらの知見はインターネット調査から得られたものであるという点で、そのバイアスは否定できないものの、大学ホームページの閲覧に関しては、そもそもインターネット環境を必要とするという意味で、過大推定ということは考えにくい。

この意味で、大学情報の情報公開を「ニーズ」といった文脈だけで進めていくのには、やや無理があるのかもしれない。であればこそ、これまでの結果からも明らかなように、現状では限られた社会経済的立場にある人々しかアクセスできていない大学情報を適切なかたちで公開していくことで、そうした社会的不平等を是正できる可能性についても議論・検証していくことが重要だと考えられるのである。

【参考文献】

渡辺健太郎, 2019, 「マスメディアから大学情報を入手しているのは誰か?」『文部科学教育通信』(印刷中).


[i] [教育研究の⽬的や⽅針について/学部・学科(カリキュラムや教育内容)について/取得できる資格等の情報について/キャンパスライフ(学⽣⽣活)について/キャリア・就職について/⼊試情報や出願⽅法について/卒業⽣の活躍状況]という7項目についての大学HPの閲覧経験をたずねている。