コラム

学生のアルバイト収入はいくらか?

1. COVID-19と学生

2020年5月4日。例年であればGWの最中であるが、今年は勝手が違っている。COVID-19の感染拡大にともない、緊急事態宣言のもとで外出自粛や休業の要請が出ているためだ。

この「コロナ禍」のもと、ひとつ気になるトピックがあった。それは、休業などで減ってしまったアルバイト収入によって、経済的に困窮する学生が出てきたという問題だ。この問題について、現在、学生団体や一部の教育学者による調査などが実施され、学生の経済状況についての実態把握が進められつつある。

そこで、そうした「スピード感」のある調査とは別に、やや古いが代表性の高いと考えられる「学生生活調査」(日本学生支援機構)の結果1)本稿で参照する平成28年度学生生活調査の結果は、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)にて公開されているものを取得した(https://www.jasso.go.jp/about/statistics/gakusei_chosa/2016.html)。調査法とサンプリングについては同HPを参照のこと。なお、回収率は45.7%(N=44,169)であった。また、同調査データには大学院(修士課程/博士課程)の情報も含まれているが、本稿では扱わない。から、学生のアルバイト収入の状況についてみてみたい。

2. そもそも学生のアルバイト収入はどれくらいなのか?

表1 短期大学生の年間収入

まず、短期大学生(昼間部)についてみてみよう(表1)。短大生が1年間にアルバイトから得る収入の平均は、297,200円となっている。これは、短大生の年間収入1,667,800円の17.8%にあたる。

居住形態・設置区分別にみてみると、短大生の年間収入に占めるアルバイト収入の割合は7.4~25.9%のひらきがあることがわかる。居住形態別にみてみると、自宅生で約2割、寮生と下宿生(アパート、その他含む)では約1割となっている。設置区分に関しては、公立でも私立でも約2割程度となっている。

金額で言い換えると、短大生が1年間に得るアルバイト収入は、自宅生で約25~32万円、寮生で約14~17万円、下宿生(アパート、その他含む)で約20~27万円であったことになる。

表2 大学生(学部)の年間収入

次に、大学生(学部・昼間部)についてみてみよう(表2)。居住形態や国公私立の区別なしにみてみると、大学生のアルバイト収入の平均は356,100円となっている。これは、大学生の年間収入1,965,900円の18.1%にあたる。

居住形態・設置区分別にみてみると、大学生の年間収入に占めるアルバイト収入の割合は8.0~30.9%であることがわかる。そして、居住形態別にみてみると、自宅生で約2割、寮生と下宿生(アパート、その他含む)で約1割となっている。また、設置区分別にみてみると、国公私立によらず約2割となっている。

金額で言い換えると、大学生が1年間に得るアルバイト収入は、自宅生で約33~40万円、寮生で約18~28万円、下宿生(アパート、その他含む)で約29~35万円であったことになる。

3. 月あたり約2.5~3万円という「平均」から考える

まとめると、学生が1年間に得るアルバイト収入は、平均して、短大生で297,200円、大学生で356,100円、月当たりに換算すると、短大生で約24,800円、大学生で約29,700円だ。緊急事態宣言から1か月が経過した今日、アルバイト先の休業などによって、平均してそれだけの減収が学生にもたらされた可能性があるということだ。

この、月あたり約2.5~3万円の減収という数字をどのようにみたらよいだろうか。1つ重要であるのは、ここで挙げた数字があくまで「平均」を示しているに過ぎないということである。そのため、普段からアルバイト収入の割合が高かった(状況に置かれていた)学生については、より経済的な困難に直面しやすいということになる。そうした経済的困難の「位置」を見定めるために、学生の経済状況を見渡す際の1つの立脚点を本稿が示せていたならば、幸いである。

(日本学術振興会 特別研究員 渡辺健太郎)

References   [ + ]

1. 本稿で参照する平成28年度学生生活調査の結果は、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)にて公開されているものを取得した(https://www.jasso.go.jp/about/statistics/gakusei_chosa/2016.html)。調査法とサンプリングについては同HPを参照のこと。なお、回収率は45.7%(N=44,169)であった。また、同調査データには大学院(修士課程/博士課程)の情報も含まれているが、本稿では扱わない。