コラム

27部署と親になって思う大学の情報公開について

2018年12月7日の昼過ぎに本学教育学生支援部から一本のメールが届きました。

「読売新聞「大学の実力」調査終了のお知らせ(通知)」。

このタイトルに、この本プロジェクトメンバーとして純粋に驚きました。これよりさらに驚いたのは、メールの送信先が27部署であったことです。1新聞社の調査に自大学において27部署が関係していることに驚きました。1部署あたり1名で対応して回答に30分かかったと仮定すると、調査対応総数は13.5時間になります。

学生支援部署で1時間前後の面談を10人以上できる時間になるでしょう。この調査は全国の大学を対象としているので、学生はどれくらい学生支援の機会を損失していることになるのでしょうか。

この仮定に対する批判は想定されます。「IRが政策として推進されているのだから、大学がデータウェアハウスを構築し、1部署で対応すればいいでしょ。」確かにおっしゃる通りです。ただし、調査を実施する側も調査内容を、毎年変えてきます。

例えば「大学の実力」では徹底調査として学長コメントを調査しています。2017年調査では「書く力」とはというお題で、学長のコメントを調査しそれを一覧で掲載しています。調査側の狙いは、各大学の学長コメントと実際の教育体制やライティング支援の現状に矛盾がないかを高校生に自律的に確認・判断して欲しいようです。

高校生に大学の現状を批判的に見て考え、判断して欲しい。クリティカル・シンキングを「大学の実力」を読んで使って養ってほしいという狙いは素晴らしいと思います。しかし、このような調査には、データウェアハウス整備では対応しきれません。

この点から大学の情報公開と、調査対応の効率化・負担軽減は両立するのが難しい問題だと考えます。そこで、我々のプロジェクトでは、コモン・データ・セット(CDS)に着目しました。

大学の基本情報は各大学のウェブ上に掲載するCDSから自由に使ってください。つまり、J-CDSプロジェクトは大学の基本情報公開の改善に焦点を当てた調査対応の効率化と負担軽減を目指しています。

2018年9月に娘が生まれました。大学に務めているためか、娘の今後の教育について思いを馳せる機会が多くなりました。

将来娘の進学を一緒に検討するために必要だと思う情報は、各大学の教育・研究内容の質的なデータであると考えています。どのような専門領域の教員がいて、どのようなゼミ・研究室運営をしているかなどです。

この情報を通して、娘が本当にやりたいことを叶えるための選択肢を一緒に考えられると思います。私の母は、「学問の鉄人-大学教授ランキング (文科系編)(別冊宝島 (322))」を買って、大学進学について一緒に考えてくれました。

帰省した時にふと手にとって見た時に、私の興味に重なる教員名、研究内容などに赤鉛筆でアンダーラインが引かれていたことを思いだします。「自分の子どもが◯◯しないよう」というネガティブな選択支援を促す情報公開より、「□□ができる」というポジティブな選択肢を促す情報公開が進むことも願っています。もちろん、大学関係者としては願うだけでなく実現できるように仕掛けていきたいと思います。

(新潟大学 上畠洋佑)