コラム

情報公開と大学の判断

大学の教育情報や質保証の情報公開

学校教育法施行規則の改正による2011年4月から大学等の教育情報の公表の促進により、大学は自らのホームページで大学の教育研究上の目的や組織、学生数や就職率など様々な情報を公開しています。

さらに2018年に中央教育審議会から出された「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」の中で「教育の質の保証と情報公表」が記載されています。ここでは単位の取得状況や学修時間、学生の成長実感及び満足度などを把握・公表の義務付けが考えられる情報公開の項目一例として示されている為、大学は今後これらの情報を公開する事が求められるでしょう。

既に授業アンケートや学修行動調査などで学生がどのぐらい勉強をしているかの把握を行っている大学は多いかと思います。また2018年度の私立大学等改革総合支援事業タイプ1「教育の質的転換」で卒業時の調査の実施(及び回収率)が設問に加えられた事により、卒業するときの大学の満足度や、自分がどのぐらい成長したかについて、2018年度にアンケート調査を実施した私立大学もあると聞きます。

既にグランドデザインで示された教育の質に係る情報公開の例示項目については、大学はデータや情報を持っているといいかもしれません。ただこれらの公開をどうするかというと大学としては悩みどころでもあります。

情報公開はどのレベルで行うか

既に学校教育法施行規則で定められている教育情報の公表は、法令により何を公開するか定められ、大学はその情報を公開しています。一方、教育の質の保証に関する情報の公開について、例えば卒業時調査で満足度や学生の成長実感を公表する時はどのように公表をするでしょうか?

ローデータは、倫理面から公表する事はないでしょうが、集計データか、あるいは分析データや分析レポートまで公開しますか?また集計データであってはどの(組織)レベルで出しますか?

これらのアンケートのデータは、まだ答申で示されているだけの為、このコラムを書いている2019年4月末時点では、学生の満足度や学習時間をどのように公開をするかは、各大学の裁量によって変わります。法令による公開の判断がないという事は大学側も公表の方法について悩ましくもあります。

例えば、学生の学修時間を学科や学部ごとに公開したら、学内外で比較されて数字が独り歩きをしてしまわないかといった事や、学部学科内でランキングや序列化してしまわないかといった心配があります。また大学の満足度を公開したら第三者が勝手に「大学の満足度ランキング」をつくりメディアなどで発信するといったような使われ方をしないかといった不安もあります。

大学外からすれば不都合な情報も全て詳細に公開すべきといった意見もあるかと思います。ただ大学としては情報公開をして、それが独り歩きをすることは好ましい状況ではありません。そのため、調査結果は大学全体の満足度のみ公表するといった事もあるでしょう。

情報公開には誠実な対応が求められる

大学によっては、ホームページのトップページではなく、どこかの片隅においたり、そのページをGoogleなどにインデックス(検索されない)ようにすれば、あまり目に触れることはありません。

公開したという事実さえあればいいという訳ではなく、大学として誠実にどのように情報を公開するかといった事は留意すべき点であると考えています。

(淑徳大学 荒木俊博)