コラム

その情報、届いていますか?

2011年の学校教育法施行規則の改正を契機に大学の情報公開が進んでいます。大学ポートレートの開設が大きな変化の一つではないでしょうか。

大学に対する国からの情報公開の要請は高まっており、とくに私立大学においては、2018年度の補助金配分では客観的指標による増減率の導入や財務情報を公表していない大学に対して補助金の減額の強化が行われました(月報私学 2019年4月号)。

さらに、学生がどのような能力を身につけているかについて、全国的な学生調査が検討されています。文部科学省は「社会に対する説明や情報公表が不十分である」として、「社会が理解しやすいような形で公表し、学生の声を大学進学を目指す若者に届ける」ことを目的として本調査を行うとしています。

このように大学の情報公開が国により促される一方、これらの情報が届いて欲しい人に届いているのかという疑問もあります。冒頭に触れた大学ポートレートは、多様なステークホルダーの中でも大学進学希望者とその保護者に情報を届けることを主としています。

しかし、大学ポートレートの知名度は圧倒的に低く、大学ポートレートを使ったことがある高校教員は約1割にとどまり、進学希望者の適切な進路選択支援としての機能は大きな課題があると報告されています。

また、リクルートが2016年に受験生に対して行った調査では、最も役に立った進学関連情報源は「オープンキャンパス・学校見学会」が突出して高くなっています。つまり、国は大学に対し情報公開を求めているのにも関わらず、大学ポートレートで大学側が提供する情報は高校生に役立つものとして届いているとは言いがたいと考えます。

それでは、高校生はオープンキャンパスを通じて、どのような情報を求めているのでしょうか。進学センサス2019「オープンキャンパス」編では「オープンキャンパスで知りたいこと」として、「キャンパスの雰囲気」が上位にあがっています。

また、この調査では一人の高校生がオープンキャンパスに参加する学校数は平均3.9校と報告されており、複数のオープンキャンパスに参加することを通して、高校生はリアルに体感できる情報を求めていることが推測されます。

この点から、進学先を選ぶ上で大学ポートレート等のオンライン上の情報公開からは各大学の違いを見出しにくく、実際に足を運ばなければ、その判断基準を得ることが難しいのではないかということが考えられます。言い換えるのならば、「キャンパスの雰囲気」という曖昧な判断基準でありながらも、上位にあがっていることから、高校生は大学選びの意思決定を感覚に頼らざるを得なくなっているのではないでしょうか。

したがって、国や関連団体、各大学は誰にどんな情報を届けるか、情報をただ並べるだけではなく、主たるステークホルダーである高校生が肌身に感じられる情報公開の形を検討すべき時期が訪れたのではないかと考えます。

(高千穂大学 近藤直幸)