コラム

質保証は「不要不急」か?

4月に入り、新年度も始まりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。大学に限らないことではありますが、新型コロナウイルス感染症の対応に皆さん追われて大変な状況であろうと推察します。

特に、感染防止の観点から、大学に通学して授業を行う対面型授業(面接授業)に代わり、オンライン授業やオンデマンド授業などの遠隔授業によってすでに授業を開始していたり、または授業準備に入られていたりするかと思います。

このような状況下で大学の教職員に問われるのは業務における「不要不急」の判断です。平時であれば教授会や各種委員会、打合せ、ルーティン業務などは前年度のやり方を踏襲したり、定例で決められた期日や日程で行ったりしていくものです。

しかし、今回のような緊急時となると会議や業務等を行う優先順位は変化します。例えば本学では、新型コロナウイルス感染症への対応策とする遠隔授業の実施方針や方法などの検討が優先事項となり、その実現に向けた遠隔授業に関するFD研修会を企画、実施しました。並行して、いかに人と人との接触を少なくして会議や業務をどのように遂行するかを検討し、実行しています。

一方で、昨年度、中央教育審議会教学マネジメント特別委員会が策定した「教学マネジメント指針」に基づく学修成果の可視化や把握、自己点検・評価や認証評価などの質保証の取組みも法令や各大学の規程等に基づき実施する必要があります。これらの取組みの優先順位はどうなるでしょうか?言い換えれば「不要不急」といえるものなのでしょうか。

私見ではありますが、「必要不急」ないしは「必要早急」だと捉えています。その心は、認証評価が差し迫っている大学からすると「必要早急」になりますし、そうでない大学であってもいずれ来る認証評価に対応すべく、「必要不急」の対応が求められると考えられます。しかし、質保証は認証評価に関する対応事項だけでしょうか。今回の感染症対応における遠隔授業の学修時間の確保や、遠隔授業という学びのスタイル変化下における学修成果の測定なども大学が担うべき質保証に含まれます。

新型コロナウイルス感染症対応ですぐにこれらを行うことは難しいです。それでも、当初の教育スタイルから変更せざるを得なかった遠隔授業は、大学教育の根幹を担っていることには変わりはありません。したがって、認証評価を受ける直前にエビデンスを蓄積することは難しいため、新型コロナウイルス感染症対応の隙間時間でもよいので、徐々にエビデンスを蓄積することを通して、「必要不急」「必要早急」な質保証を意識していく必要があるでしょう。

以上、新型コロナウイルス対応に追われるIR担当教員の立場として日々思っているところをつづりました。皆さんはいかがでしょうか。

(広島市立大学 山咲博昭)