コラム

大学のサイトの見やすさと情報の探しやすさ

先日、ある情報が大学のホームページで掲載されているか、どのような内容かを確認するために全国の私立大学のホームページを網羅的に調査する機会がありました。全国の私立大学だけでも約600校と相当数あり、作業量は多く、想定していた以上に作業は面倒でした。面倒だった理由は、一見すると見栄えが良い大学のホームページでも、自分が欲しい情報が探しにくい・見つからないという大学情報の配置の問題でした。

そこで、今回のコラムでは大学のホームページの見やすさと探しやすさから、大学は情報公開をどう考えるべきなのかを考えてみます。

レスポンシブデザインと情報の検索のしやすさ

最近の大学のホームページは、パソコン・タブレット・スマートフォンなど、どのデバイス(端末)でも対応されているレスポンシブデザインが多くなっています。レスポンシブデザインとは、デバイスの画面サイズに依存しないwebサイトを構築する手法を意味します。

このようなホームページのデザインの流行の一方で、レスポンシブデザインとはいいながらも、スマートフォンで見やすいようにデザインが特化されている場合があります。この場合は、パソコンで見ると、パソコンで見やすい横幅一杯使うデザインではなく、スマートフォンで見やすい下に長いデザインになっています。

また、大学は、学生募集のターゲットがどのようなデバイス(端末)を使って、自大学のホームページを見ているのかを明らかにするためのアクセス解析を行い、適切にホームページのデザインを検討する必要があります。

しかし、先に述べた調査を通して、最近の大学のホームページは見栄えの良いデザインにこだわり過ぎる点と盛りだくさんな情報を伝えようとしすぎる点の二つの問題があることがわかりました。この大学ホームページにおけるユーザー中心デザインではなく、大学中心デザインの現状が学生募集上、ポジティブに働くのには疑問を抱きました。とにかく、ユーザーが情報を探しにくいのです。

それでは、何故情報を探しにくいのでしょうか。いくつもの私立大学のホームページを見ると、デザインに特化した大学のホームページは大学側が伝えたい情報にはすぐアクセスが出来るのですが、閲覧者が見たい情報は次のような現状になっています。

  1. どこのメニューに見たい情報があるのかが分かりにくい
  2. デザイン上、メニューが隠れてしまっている

一般的には、トップページに新着情報や大学内外に広く発信をしたい情報を並べる事が多いです。しかし、その情報ばかりが目立ち、他のページやカテゴリーにアクセスできるメニューボタンが分かりにくい位置にあるのです。そのため、どこに情報があるか分からず、そのままサイトの閲覧をやめてしまう(離脱する)事もあるのではないでしょうか。

大学のホームページのサイト内検索

大学のホームページにアクセスして、情報がサイトのデザインや構造上探しにくい事があった場合、よく使うのは「サイト内の検索機能」です。なお、このJ-CDSプロジェクトのサイトは、情報量やページ数はそこまで多くはありませんが、コラムのページにはサイト内検索をつけています。

今回の調査を通して、サイト内検索が使いにくかったケースとしてこんな傾向がありました。

  • トップページにサイト内検索のメニューを出していないホームページ
  • デザインのためか、サイト内検索の入力バーが背景と同一化し、どこにあるかは分からないホームページ
  • 何故かサイト内検索をしようとするとIDとパスワードが求められ、その機能が使えない

サイト内検索を出していないケースは、大学側が必要性を感じていないのかもしれません。

また、サイト内検索が背景と同一化しているケースは、デザインを重視するあまりの結果か、デザインを大学内の担当部署がきちんと確認できていない結果であると感じます。IDとパスワードが求められたホームページについては、こちらの操作ミスかと思いましたが、該当大学のHPへ2020年2月17日時点でアクセスしても同じ結果でした。

大学のホームページはPV(ページビュー)を稼ぐ事だけではなく、ステークホルダーに情報を発信・公開する事も重要な役割です。大学側が出したい情報だけをいかに見せるかだけではなく、ステークホルダーがいかに情報を探しやすくするかといったこともサイト内検索の設置も含め、ユーザー中心のデザインに検討していかなければならないと思います。

(淑徳大学 荒木俊博)