コラム

コモン・データ・セット事始め ~情報には「共通の定義」が必要~

これまで明星大学の学長室企画課で、大学に係わる情報収集や分析を担当していましたが、2018年5月から理事長室統合IRセンター(2019年4月に理事長室経営企画・IRセンターに組織改編)に所属し、今度は学校法人が設置する学校(大学から幼稚園まで)の情報収集や分析を担当しています。

私自身が情報公開に興味を持ち始めたのは、2010年に入職して最初に担当した学校基本調査や各種調査対応のなかで、2011年の学校教育法施行規則改正がきっかけでした。当初は調査の数もさほど多くなく、仕事に違和感はありませんでしたが、この学校教育法施行規則改正が影響したのか(どうかは定かでありませんが・・・)、大学の情報公開を求める動きが急速に進み、学校基本調査を含め年間約50にのぼる学外からの調査の対応に追われる状況になりました。当時は「IR」という言葉はまだそれほど浸透しておらず、自分がやっている業務の位置づけもよくわからないまま対応に追われていたのが実情ですが、その一方で次第にデータや情報の持つ意味や活用方法に興味を持つようになりました。

最初は、各種調査に対応する業務の効率化という側面から情報を一元化して蓄積し、アクセスできるしくみの必要性を感じたため、これをテーマに履修証明プログラム(Rcus大学マネジメント人材養成、筑波大学、2013年度)を受講しました。履修証明プログラムでは、「大学情報の収集と公開に関する課題」と題して研究を進めました。読売新聞や朝日新聞をはじめ、5社の媒体の質問項目を調べ、①毎年共通している質問項目を見つける、②各調査の情報の算出方法(定義)の違いを比較する、③集めるべき情報の「必要最小限のレベル」を見つけることを試みました。研究を進めるなかで、例えば小さなことでは、退学者に除籍を含むのか編入生を含むのかで定義が異なったり、大きなことでは入試区分や進路情報の提示方法が異なったりと、調査主体の示す定義が曖昧な場合には大学によって提供している情報にバラツキが生じ、結果として公表数値に対する誤解やランキングに影響するようなことも起こりうると感じました。そこで、この研究では共通の定義を持ったフォーマットの必要性があるという結論を示しました。

今回の新たなプロジェクト「日本版コモン・データ・セット(CDS)の作成」は、まさにこれまでの業務上の経験から私自身が作りたいと思っていたものであり、プロジェクトに参加できることを非常に嬉しく思います。共通のデータ・フォーマットの作成は、目的とされている2点(①大学内外のステークホルダーが活用しやすいデータを作成し公表すること、②大学に多数寄せられる外部からの調査の回答に活用すること)により業務の効率化が図れるだけでなく、IR活動の根幹のとなる「共通の定義のもとでデータが扱われること」に大きな意味があると感じています。

(明星学苑 岩野摩耶)