コラム

第3回J-CDSプロジェクト研究会を開催しました

開催概要

 先日のコラムに書きました表題の研究会について、2020年2月8日(土)に関西大学梅田キャンパスで開催しました。繁忙期での開催ということもあり、岩野(明星学苑)、山咲(広島市立大学)、渡辺(大阪大学大学院)、上畠(新潟大学)の小規模な研究会となりました。

フリーディスカッションから生まれるアイデア

 4名の研究進捗状況を報告した後、フリーディスカッションを行いました。少人数ということもありましたので、ここでは大学データやIR、CDSに関する議論から離れて、各自の状況や課題意識、研究関心に沿って自由に意見交換を行ってみました。その結果、このプロジェクトメンバーを中心に、一般社団法人を設置し、設置認可・内部質保証・IRを三本柱とする体系的SDプログラムを構築し、有償の研修パッケージとして提供するというアイデアが生まれました。

 このアイデアに至った理由は4つです。第一に、設置認可・内部質保証・IRに関する人材の採用・登用・育成について各大学が大変に苦慮していること。第二に新入職員、若手職員が修得すべき知識・スキル・態度を体系的に学べる研修制度が未整備であること。第三に、本プロジェクトの研究資金がないこと。第四に、プロジェクトメンバーには、設置認可・内部質保証・IRの実務経験者が多いことです。

 このように偶発的に生まれるアイデアを検討し、実現に向けてチャレンジしていくことは、本J-CDSプロジェクトが持つ本プロジェクトメンバーにとっての社会貢献SDとしての側面であると考えています。

設置認可=「ネ申」仕事?

 先に述べた研修の三本柱の内、筆者は設置認可・内部質保証・IRすべての実務経験があります。ここでは「設置認可」について述べていきたいと思います。

 「設置認可」について、この業界での認識をキャッチフレーズ的に表現すると、「ネ申」仕事化していると思います。これは、監督官庁である文科省というお上と相対する業務である点、大学のコンフィデンシャルな部分を取り扱う点、「設置認可」を業務として接する機会が稀であるという点、大学の規模によって「設置認可」行う時期が異なるためOJTでの計画的育成が難しい点などに起因するものであると考えます。また、「設置認可」は外注して丸投げという話をよく聞きます。その仕事を得意とするコンサルタントや企業はいくつかあります。外注ばかりしていることの問題は、「設置認可」に関する業務を内製化ができなくなることです。つまり大学内の教職員だれもが、設置認可に関する知識・スキル・経験を持たなくなるのです。もちろん高額な外注費という問題もありますね。

 大学合併や大学倒産・淘汰が、戦後一番の荒波として目前に迫っている中で、あらゆるところから大学を改革したり、スクラップアンドビルドを試みたりしていく上で、実は設置認可の経験は非常に役に立つと思います。なぜなら、大学・大学院・学部・学科をゼロから作り出す仕事だからです。さらに言えば、「設置認可」業務を行う上で、大学経営に関するあらゆることを、広くちょっと深く知る必要があるからです。

 また、設置の趣旨作成や教育課程編成などで、教員とバチバチやり合うことが大学職員としての胆力やコミュニケーション能力、論理的思考力、政治力、会議運営能力、教育・研究に対する目利きなどを養うことができます。(もちろん、ダークサイドスキルももれなく得られるでしょう。。)

 つまり、筆者は「設置認可」を大学職員の読み書きそろばん的なものの一つだと考えています。ですので、新任大学職員研修の必須として、「設置認可」に関する知識・スキル・態度を学べるプログラムを強く望みますし、実際に企画・運営することを目指しています。

 現状、このようなプログラムは、SPOD事業における「大学設置認可申請入門」くらいしかありません。あとは、設置認可業務を請け負う企業の営業セミナーくらいです。

大学職員はホワイト?

 昨今、大学職員は、ノルマがなく楽で休みが多く高給なホワイト仕事だと持て囃されているようです。経験からいうと、ブラックとホワイトが入り混じるシマウマ(ゼブラ)仕事だと思います。「設置認可」は、その中でも仕事のプレッシャーや業務量、難易度からするとシマウマの黒い模様だと思います。それでも、その経験は筆者の今に生かされてもいるのです。禍福は糾える縄の如し。

 とはいえ、設置認可=「ネ申」仕事から脱却しないといけないですし、ブラックからホワイトにしないといけないと思います。新任大学職員研修の「設置認可」必修化は、脱「ネ申」、脱「ブラック」を目指す取り組みとして、プロジェクトメンバー有志で今後チャレンジしていきたいと思います。

(新潟大学 上畠洋佑)